日本人料理人

今日は月曜だけど授業は明日からなので、昼間駅の近くまで行って画材屋で分度器を買おうとしました。しかし行って気づいたけど月曜は定休日。よってもうひとつの遠い画材屋まで行くことにしました。

歩いていると一人の男の人と目が合いその瞬間その人は「日本人の人ですか?」と声をかけてきました。ええと答え、その場で少し立ち話。話によるとトリノから少し離れた場所のレストランで働いているとの話でした。これからピザを食べに行くのだけど一緒に行きませんか?というので、そろそろイタリアの店も昼休みに入るので暇つぶしに行くことにしました。

しかしこの人の話はすごい。イタリアに去年の春から住み込みでレストランにシェフをやっているのだけど、まるでイタリア語が話せずにイタリアに来たらしく、今でも文法は無茶苦茶らしい。というか学校は中学までしか出ておらず、中学の先生にオレ高校行きませんからと言ったら、お前に紹介できる高校はないと言われ、そのまま料理の世界に飛び込んだような人だ。よって動詞、名詞、の違いすら分からないから、イタリア語やる前に日本語の文法からやらないといけないんだよと笑っていた。なんかこち亀両さんみたいな人です。

しかしその代わり料理に対する情熱はすごい、一緒に歩いていると店先のショーウィンドウを見ては、写真を撮って資料を集めていた。その人曰く自分の伸ばせるところを伸ばせば良いそうです。だからイタリア語全然話せなくてもオレは良いといってました。でもコミュニケーション力は高いと思いました。やっぱ熱意が高いからかな?

そんなこんなでトリノをその人と散策していたのですが、帰りに駅の近くで何人かの子供たちが寄ってきて、真ん中の子供が紙袋を持ってなんか言って来ました。良く分からなかったのですが、その子供たちは笑って去って行きました。二人でどういう意味なんだろう?とか言い首をかしげていると、ハッと気づきました!「そういえば、首から下げていたカメラどうしました?!」と俺が言いその人の胸元を見ると、紐だけぶら下がっていてありません!あわてて二人ダッシュでさっきの子供たちを追っかけます。走っていくと向こうの通りにその子供たちが見えました。そして彼がその子供たちに駆け寄るや否や、日本語の怒号が通りに響き渡りました。近寄って見てみるともう彼の手にはカメラが戻っていて、子供たちはおびえた様子です。その後子供たちはすぐさまその場を逃げていき、彼の声も荒げていました。後で聞くと、どうやら大声で掴みかかったらすぐにカメラを出したようです。

まあそんなこんなで危険なオチも付いて別れたのですが、なかなか面白い人でした。また会えると良いです。