パソコンルームで隣にいたポーランド人のテオが俺をつつくので、何かと思ってモニターを見ると、素敵な日本車の写真がありました。ピンクのボディーカラーに、天を突くように反り立ったエクゾーストマフラー、3時の紅茶を飲むときにちょっとしたテーブルとしても用をなすのではないかと思える左右に張り出したオーバーフェンダー除雪車のように地に張り付くスポイラー、そう、よく旗とか持って夜中走っている、ドライブ好きのお兄ちゃんたちの車でした。

テオはどうやらこの車が気に入ったらしく「お前もこういう車デザインしろ」と言ってきましたので、それなら日本のカスタムカーの恐ろしさを分からせてやると思い、かの有名な銀色のパーツと無数の電飾で飾られた漢(おとこ)のトラックをネットで探し、見せてやりました。あまりの和の文化に恐れをなしたのかテオは「わかったわかった、もういい」と言いましたが、時間さえあれば、空力とはあまりにもかけ離れた位置に張り出したロケットカウルを持つ宇宙船艦ヤマトのようなバイク、故人を盛大にあの世へ送り出す神社仏閣仕様の黒塗りのステーションワゴンを紹介したかったです。そうだ、これらを写真集にして「ジャパニーズカー」という題名でこっちで売れば、売れるかも。