武士の紋章 (新潮文庫)

武士の紋章 (新潮文庫)

池波正太郎の短編集です。題名から時代物だと思っていたのですが、最後の二編は昭和頃の話しでした。しかし池波小説は時代物ばかりなのですが、意外にこういう作者が生きていた現代物の話でできの良い小説も多いなと、前に読んだ「夢の階段」も合わせて思いました。そんな訳で、30を過ぎた相撲取りの再起を懸けた話や無学歴の独学植物学者牧野富太郎のひたむきな人生など、それぞれ一貫した男達という意味では武士(男)の紋章(しるし)という題名には納得しました。