たまにはコップじゃなくワイングラスで飲んでみようと、前にワインの試飲会のときにもらったグラスを取り出し、紙パックからワインをそそいで飲んでみたら、驚くほど味が分かりすぎて、日ごろどれだけ安い酒を飲んでいるのか思い知らされました。ワイングラスは飲み口が狭くなっているから、飲むときに向こうの縁が鼻先に当たりそうになるんですね。そうするとワインをすする時、否応なしに鼻からも香りが入ってきます。それで鼻を通ったワインの香りと、舌の味わい、喉ごしが一体となり、紙パックワインは見事なまでにその哀れな姿を日に晒すことになってしまったのです。

しかし開高健がワインの味を知る習練はただひとつ、次から次へと安物を飲み漁ることと書いていましたが、日ごろ1ユーロから1.5ユーロの1ℓパックワインを専門としてテイスティングしている私はまさに正しいと言うことになります。そして言わせてもらうなら、1.5ユーロ(240円ほど)の高級パックのタベルネッロなどより、1ユーロ(160円ほど)のスーパーマーケットdiperdiやGSのオリジナルパックの方が美味いのは動がしがたい事実であります。そして何より、いつも行くスーパーの棚から1ユーロのパックワインからなくなって行くという事実が、私の舌の確かさを示しています。(ただ安いだけで、奥様方が料理用に買っているだけかもしれませんが…)

しかし酒の味なんて俺にとっては、最初の2、3杯だけが重要なもので、後は酔っ払って舌が効かなくなるからどれも一緒ですが、甘いのだけはだめです。それに食べ物についてはポジティブな舌で、新しいものをどんどん食べ試すのですが、酒の種類に対してはネガティブで、どこ行ってもビールと言ってしまいます。俺が飲める酒は基本的にビール、ワイン、日本酒だけです。しかも辛口のみ、ビールもワインも日本酒もフルーティーなんてものはジュースみたいなものでアルコールを飲んでる気がしなく、飲めたものじゃないです。


カーインテリアの授業で相変わらず、日本をテーマにした車をやっています。別に意気込んでまたジャパニーズカーというわけではないのですが、アイデアにどうしても困ったときの日本頼みということで、図らずも和文化のコンセプトカーになってしまいました。それを見たセルジオが「おい、ずるいぞ、去年もそうだったじゃないか。俺が日本に行ったときはイタリア的車ばかりデザインしてやる。」と言ってました。昔寺沢武一の漫画コブラで、表紙裏作者コメントに「SFは、コーラの瓶に古いぶどう酒を詰めるようなものさ」と言う文章があったような気がします。いわゆる温故知新ですね。桃太郎だって桃型宇宙船に乗せて、スペースピーチボーイとか言えば立派なSFです。ま、この手のことは80年代のジャンプでやりつくしたようですが。