スパゲッティでも茹でようと、台所の蛇口を捻って鍋に水を張り蛇口を閉めたら、閉まってからまた一回転しまして、水がダラダラと停まりません。どうもネジが馬鹿になってしまったようで、おうおうと馬鹿の一つ覚えのように時計回しに必死に閉めようとしたら、仕舞いには回しがズッポシ引っこ抜けて、手のひらにある蛇口の回しとダアーダアーと水が流れている蛇口を見て、唖然としました。

とにかくこの流れている水を止めなくてはと思い、もう一回ネジ穴に蛇口の取っ手を根元まで力強く突っ込んでみると、水が停まることに気づきました。しかし馬鹿になってしまったネジ穴は、取っ手の回しを固定するすべを知りません。それで次に考えられたことは、この回しを無理やりこの穴に押し込む方法が必要だと思い、テープでガチガチに固定するかと思ったのですけど、手元にあるのが貧弱な紙テープのみで、ガムテープのような強力な奴が欲しいなと思いましたが、もう夜八時を回ってまして日本ならいざ知らず、今住んでいる家の近くにそんな遅くまで開いている店は知りません。試しに紙テープを巻きつけてみたのですが、水も付くせいか点でお話になりません。

そこで次に思いついたのが、針金で巻いて締め上げれば良いじゃないか?と言うことでして、ガムテープが無い家なのに何故か針金はありまして、おあつらえ向きにペンチもございますと一気に解決の糸口が見つかりました。そんな訳で、取っ手に二重にした張り金を、これでもかと言うぐらいにがんじがらめにして捻り締め上げたら、水は無事閉まりました。

しかしその時に思い出したのが、イタリアの有名ライダー ヴァレンティーノ・ロッシが昔インターネットのCMに出ていて、栓の壊れた蛇口を押さえながら電話で水道業者に電話しているのがあったのですけど、内容はロッシが「もしもし、ヴァレンティーノ・ロッシだけど、聞いてくれ!」と言ったら、相手の業者がいたずら電話だろうと思って「あーはいはい、じゃあ俺はナポレオンだ(笑)」「いや聞いてくれ、水道屋さん!」「いやいや、俺は亀さんだよ(笑)」と、本物のヴァレンティーノ・ロッシだと信じないで、話が進まないというCMでした。あの時に蛇口を必死に押さえるしか能がなかったロッシと比べたら、針金で危機を乗り切った俺はロッシより賢いということが、ここで証明されました。いや、もちろんバイクのメカニックにも十分精通しているプロライダーなんだから、本当はそれぐらいの機転が利くでしょう。


テレビ、インターネットが無い生活してるゆえ、唯一の娯楽がラジオという生活なのですが、ここ最近お気に入りのFMラジオ局周波数102.5RTF(イタリアで一番聴かれているラジオ局だそうです)がまるで入らなくなってしまい、他に何を聴いていいのか分からなくなってしまいました。たまに隣のチャンネルで24時間ぶっ続けでクラシックやオペラを流している局を聴くのですけど、三十路手前といえ24時間クラシック漬けとまでは枯れてはいません。

それで他に色々回してみたのですけど、どこもポップ曲かイタリア歌謡曲で似たり寄ったりです。でもたまには60年代風のイタリア歌謡曲も良いかと思いまして、イタリアのトラック運ちゃんが聴いていそうな局を二週間も聴いていたのですが、さすがにうんざりしてきました。そこで思い切って端から端まで探してみたところ、FM周波数端っこの89あたりで洋楽ばかり流しているヴァージンラジオという局を見つけまして、最近はそれを聴いてます。

しかしこの局はかなり硬派らしく選曲はロックのみ、DJのお喋りすらほとんどないような24時間ロック有線といった感じです。前のRTFでは俺のアレルギーのラウラ・パウジーニを耳にしない日は無かったのですが、今はニルヴァーナを耳にしない日は無いといった感じです。そんな訳で60年代から最近までのロックを勉強するには良いと思って、クリームだのピンクフロイドだのオフスプリングだのと聴いてますが、たまにはイタリアの曲もかかります。しかしあまりに硬派過ぎて、たまにはイタリア人のバカしゃべりも聴きたいものです。オカマDJコンテ・ガレのおしゃべりが懐かしい。

しかしこのヴァージンラジオ、どうやら最近開局したらしく、「ついにイタリアにも到着!新しいタイプのラジオ!ヴァージンラジオ!」という宣伝を流しているので、どうもアメリカかどっかあたりでこういう形式のラジオ局が流行っているような気がします。日本にもあるのかな?む、しかしおかしいな?ミュージックヒストリーというコーナーがあるのだけど、昨日と同じこと言って、同じ曲流しているぞ?まさか今日流れてた曲、全部昨日と同じじゃないだろうな?