なんかすみません。えらい皆さんに心配してもらって。最近、自分個人的には落ち込んでいる状態なのですが、周りはイタリア人のせいかかなり賑やかでありまして、それを見ているとこれから先の不安なんてものはどうでも良いよう気がしてきまして、要するに腰抜けなわけであります。


先週は、カーインテリアと3DのAliasの試験がありまして、結果がどうなったのかは見当がつかないのですが、Aliasの試験はかなりだらけていました。先生が来るなり「みんな部屋から出て、一人ずつ10分間試験をする」というので、隣の別室で待っていたのですけど、そこでみんなおとなしく待っているはずがありません。ジャーコモは試験前でテンションが上がっているのか、歌いながら踊り狂っていたり、ポーランド人のテオはポーランドで子供の頃TVで見ていた「HAPPY TREE FRIENDS」というアニメをインターネットから探してきて、みんなに見せていました。これがすごいです。

始まりは「ニャニャニャニャ ニャニャニャー! ニャニャニャニャ ニャニャニャー!」というかわいい曲で始まり、かわいいキャラの動物たちが出てくるのですが、内容は恐ろしくグロテスクで、子供の顔に張り付いた飴を剥がそうとしたら、皮膚ごとはがれるとか、氷に張り付いた舌の上に猫がやってきて引っ掻くとか、見ていて痛い表現がてんこ盛りのグロかわギャグアニメでした。まあでも皮膚がはがれるという表現も、子供向けアニメですから、はがれた部分の色が変わっているという表現にとどまっていて、見るに耐えないものではないのですが、想像力が働くと痛々しいシーンが多いです。これを見ていたルイージが「これはイタリアでは流せない」と言っていたのですけど、日本でももちろん公共電波には乗せられない代物です。そんな訳でポーランド人のテオはこれを見て育ったのですが、今の姿を見ると納得できます。

ちなみにジャーコモ、ルイージ、テオは今三人で一緒に住んでいるのですけど、この三人はまるでアメリカ動物アニメのキャラクターのような感じで、恐ろしく毒のある言葉を吐くジャーコモはふてぶてしいドラ猫、いつもずる賢いことばかり考えて最後に失敗するテオはお調子者のラクダ、いつも無口で鋭い目つきのルイージは黒豹といった具合に、学校でもジャーコモの悪口に怒ったテオがドタドタと追っかけまわし、それをルイージが呆れた顔で見ているという風です。


あと最近の周りの近況としては、アンドレアの同居人カルロがここ2ヶ月ほど家に帰ってこなく、クラスメートの大金持ちの家に入り浸っているようです。その大金持ちはトリノの東側にある丘の上のパパに買ってもらった家に住んでいて、アンドレアも何度か一緒に飯を食べたそうなのですけど、高級日本食レストランに行ったら20ユーロ(3000円以上)もするメニューを「名前が気に入ったから」という理由で注文したり、結局一人あたま40ユーロ(6500円ほど)になった勘定をみんなの分ポーン払ったり、ポルシェを乗りまわしてぶつけても平気な顔をしていたりと、それはすさまじい金持ち振りのようです。

アンドレアも同居人のカルロも地元のトレントに帰れば、アンドレアは雪造機会社の息子、カルロは地元中心街のメインストリートど真ん中に大きな館を構えるという実はそれなりのお坊ちゃんで、金銭感覚にはかなり無頓着なのですが、その彼らが驚く金持ち振りなのですから、俺が見たらあまりのまぶしさに目がつぶれることでしょう。ちなみにカルロ、その大金持ちの友達に陶酔しきっているらしく、格好もまるでその友達と同じファッションになってしまったようです。そんな訳で、今アンドレアは家で一人さびしい思いをしているようです。しかしカルロもすごいところは、一ヶ月に一度家賃を払いには帰ってくるようです。そういえば前にアンドレアたちが、俺の家の近くに住む家を探しているといっていたけど、あれはカルロが丘の上の友達に近いからそうしてがっていたようです。

ちなみに俺の住んでいるところはその丘を下ってポー川を渡った西側。夜中に警官が黒人の身体検査をしていたり、サンタクロースにそっくりな浮浪者がゼンマイ仕掛けのようにとぼとぼ歩いていたりと、川の向こうとこちらでえらい違いです。まあでもここからさらに大通りを挟んで南の地区に行くと、また一段とすごくなり、イタリア人より外国人のほうが多かったり、角には警察のパトカーが常駐していたりと、トリノで二番目にやばい地区なんじゃないかと思っていますので、まだ俺の住んでいるところは全然安全です。ちなみに一番やばいところはトリノの北のほうにある共和国広場(通称ポルタパラッツォ)らしいです。広場には平日いつもトリノ最大の市場が立つのですが、日曜の市が無い日に行って見たりすると、その辺全員移民系の外国人がたむろしていて、歩くのもびくびくします。