項羽と劉邦(上) (新潮文庫)

項羽と劉邦(上) (新潮文庫)

合間合間に暇を見つけては、これを読んでいました。上中下三巻あります。歴史物の小説は好きなのですが、それは日本の歴史に限ったことなので、中国史の話はどうかな?と思ったのですが、地名や人名が漢字なのでカタカナ語より比較的覚えやすく、とても面白かったです。ヨーロッパとかの話はまず地名や登場人物名を覚えるので骨が折れてしまいますから。

しかし昔、横山光輝の漫画「項羽と劉邦」の表紙を見たことがありますが、なんとなくイケメン若造で英雄的勇敢な項羽が、老練でずる賢い劉邦の策にはまっていって、ついに悲運のヒーローになってしまう的な話と思い込んでいたのですが、読んでみて項羽のイメージはほとんど合ってましたが、劉邦の駄目駄目っぷりにはビックリさせられました。要するにチャイニーズドリーム、知恵が働くわけでもなく、飛びぬけて戦場的英雄でもなく、徳という人柄のみで人々をひきつけて、部下たちに支えられるのが中国的英雄劉邦なのです。しかも常に若い項羽に負けっぱなし、最後の最後で逆境の運を手に入れて、項羽を倒し中国の皇帝になる話でした。司馬遼太郎の小説の中でも、かなり面白いと思います。