次の時間割がはじまる火曜まで、授業が無く事実上の試験休みなのですけど、この一週間どこに行くでもなく本ばかり読んでました。

地球から来た男 (角川文庫 緑 303-9)

地球から来た男 (角川文庫 緑 303-9)

時代小説ばかりなので、たまには久しぶりに星新一でも読んでみるかと思って気楽に読んでみたら、そういえばこの人の小説はブラックユーモアに溢れているのだと気付きました。

そういえば星新一の小説にありそうなことで、例えば回りのみんなが宇宙人で、実は自分はたった一人の地球人の生き残りで、それを地球を再現されたセットの中観察されながら自分は生活しているのだというような空想、小さい頃想像した人って結構いますかね?何ですかね、あの頃の不思議な精神状態。別にそれが常時続くわけでなく、ふと塾に行く途中の行き帰りとかに浮かぶ、そんな空想だったような気がします。

逆軍の旗 (文春文庫)

逆軍の旗 (文春文庫)

でまた時代小説に逆戻りです。作者藤沢周平のあとがきに、ありもしないことを書いているとたまに本当にあったことを書きたくなると書いてあるように、史実を下敷きに書かれた短編集です。とは言ってもそのうちのいくつかは、なんとなくやはり藤沢周平らしい話を選んでいるような気がしました。しかし表題作の明智秀光を主人公にした「逆軍の旗」は、光秀が何故信長を討たなくてはならなかったのかという追い詰められた状況が良く伝わってきました。小学校の頃、マンガの歴史本で読んだときは「主人を裏切るなんて欲に目がくらんだ薄情な奴だな」と思いましたけど、こういう見方もありますね。

と、また池波正太郎に戻ってます。池波正太郎の小説は足し算引き算のような感じで、悪いときもあれば良いときもあるという人生観が、たぶん読んだ後のあと味を良くしているのだと思います。そう考えるとなんか寓話的ですね。特にこの本は、その感じが強いような気がします

夢の階段 (新潮文庫)

夢の階段 (新潮文庫)

池波正太郎の初期の短編を集めた本らしいです。時代物かと思って読んでみたら、舞台が戦後の昭和の話ばかりで、いつも読んでいる時代物の池波正太郎と印象が違うかなと思って読んでみたら、中身は変わりありませんでした。どうやらこれらの短編が池波正太郎のルーツとも言えるようです。特に「禿頭記」は前に読んだ「男振り」の下地になったような話で、池波正太郎は小説家になり始めた頃からもうすでに書くべきものが定まっているような感じがしました。処女作の「厨房にて」を読んでも完成度が高いと思いました。