ミンキア!(minchia)という言葉がありますが、辞書で調べると南イタリアの方言で陰茎だそうです。しかしこの言葉、今は北イタリアのトリノでもみんなスゲーとか、イイネ!という感じで使っています。

しかし北東イタリアのオーストリアに近いトレント出身のアンドレアにとって、この言葉は聞くに堪えないようです。アンドレア曰く、そもそもトレント第一次世界大戦前までオーストリア領だったのですが、大戦後イタリアとなってしまい、今でもオーストリアよりの気風を持っているようで、方言もオーストリアのドイツ語に近いようです。

それにしても、北のイタリア人にとって南のイタリア人は怠け者に見えるらしく、イタリアの経済は北で持っているようなものだという人もいます。

そんな訳で、俺なんかがまねして「ミンキア!」なんて言うと、アンドレアは「オイ!ミンキアとかいうな。俺たちの方言でオシュティア!と言え」と言います。しかし、他のイタリア人ミケーレはミラノ出身だけど、お父ちゃんとお母ちゃんの出が南イタリアだから「ミンキア!」というのも分かりますが、ミラノの郊外で伝統ある家具屋のせがれで、ベルルスコーニを神よりも崇拝し、まさに北イタリア ミラネーゼの象徴ともいえるジャーコモなんかも、「ミンキア!」なんてしょっちゅう叫んでるのは、どうしたものかな?と思ってアンドレアに質問すると、「それが俺も良く分からないんだよ。」と言ってました。

しかしアンドレアは、「トリノはみんなミンキア!ミンキア!言っているだろう?あれは南のイタリア人が多いからなんだ。フィアットが自動車を作り始めてから、大量に南の労働者が来たせいだ。」などとも言います。しかし最近は、トリノの北に位置するビエッラ出身のマッテオさえ「ミンキア!」と言ってますから、どうもトレンティーノ(トレントの人)のアンドレの方が特殊のようです

まあしかし、日本なんかはテレビの影響か方言が薄れつつあるけど、イタリアはまだまだそれぞれの地域で根強く方言を話しているようです。多分複雑な統一の歴史があるから、地方の独自性が強いようです。そういえば誰かの噂をするときに、すぐ「あいつはどこどこ出身だからな」とか言います。


火曜はクラスのロシア人アイダ―ルが誕生日だったので、みんなで夕飯を食おうと授業のあと学校を出たら、不思議な光景を目にしました。サーブのオープンカーを(ポーランド人テオの車)、ジャーコモ、ミケーレ、アンドレアが後ろから手で押して、中でルイージがハンドルを切って動かしています。あっけにとられて見てると、彼らは早業で向こうの十字路を曲がり、姿を消しました。どうやら車を隠し、あとから出てくるテオを驚かす魂胆のようです。

結局、肝心のテオがなかなか出てこなくて、俺たちはアイダ―ルの家に行ったから見れなかったのですけど、その後アイダ―ルの家に遅れてやってきたテオは、鳴らしたインターホンでアイダ―ルと一緒に住んでいる友人たちに、カラビニエーリ(イタリアの国防警察、イタリアでは夜うるさすぎると隣人にカラビニエーリを呼ばれることもあるそうです)と間違えられるなど(要するに俺たちがうるさすぎたようです)、踏んだりけったりのようでした。


そういえばミスユニバース、日本人が取ったのですか?クラスのみんながそう言ってますが、ネットやテレビを持っていない俺はまだ見ていません。これからネットで見ようかと思いますが、さてどんな感じだろう。みんなはすごくきれいだと言ってますが、そんな記事見つからないな。ガセか?


ところで気がついたのですけど、もう5月終わったんですね。そういえば一番最初の試験が6月1日だから、終わってるのも当たり前か。ええ、今日試験なんです。マーケティングの筆記試験ですが、授業内容を全然理解してません。外国人の俺が理解してないのは当たり前なのですが、クラスのイタリア人たちも何一つ理解してないようです。さて、どうしたもんだろうか。アンドレアなんかは「誰か一人が勉強してきて、クラス中のみんながそいつに2ユーロずつ払って、写すという方法(カンニング)が良いじゃないか?」などと言ってますが、肝心の勉強する人が出てこないようです。