男の系譜 (新潮文庫)

男の系譜 (新潮文庫)


この一ヶ月あまりで、日本から持ってきた本を全部読みきってしまいました。最後に読んだのがこの本です。歴史上の人物を池波正太郎が人生観を交えて語りおろしたエッセイ的な本ですが、作者の小説作りでの種明かしをするようなところもあって面白かったです。

そういえば、今までいろんな歴史小説を読んできたのですけど、もちろん小説なので実在の人物の話でも作者の創作が入るのは当たり前なんですね、伝記じゃないから。読み始めた頃はそんなことにも気づかず、書いてあること全部本当にあったことなんだと勝手にアホな思い込みをしていたのですが、他の小説読んで同じ人物が出てきても違う風に書かれていたりしたのを読んで、ああなるほど、こういう自由にできる部分もあるのだな、と思うようになりました。

それでこの本を読んで、どうやら歴史小説というのは、記録に残っていない部分を作者が想像して書くのがひとつの楽しみなのじゃないかなと思いました。その実在上の人物の性格や時代背景を把握した上で、隠れた部分の出来事やエピソードなりを創造していくのが歴史小説なのだろうと。

そういえば前に、司馬遼太郎の「空海の風景」を読んでいて、小説として書くのにかなり苦労しているなと思いました。実在の人物像を描くにはあまりにも古すぎて現実的な資料が少なかったのでしょうか。


うーん、ひさしぶり長い日記ですね。